興味をもったきっかけ

空港の管制塔の見学をさせてもらったのがきっかけです。それまで間近で見たことがなかった飛行機の大きさと重量感に圧倒され、この機体に一番近くで触れることのできる整備士になりたいと強く思いました。

 現在の仕事に就いた経緯

すぐに最短で整備士になる方法を調べて、千葉の職業開発短期大学校に入学しました。

日本航空から出向していた教官から社風などを聞いて魅力を感じていたことと、会社見学で見た先輩整備士のいきいきとした動き、チームワークの良さを見て、是非この会社で働きたいと思い、1999年に入社しました。

 業務内容

入社して6年間は客室整備部に配属され、お客さまに一番近い椅子や機内の整備に携わりました。その後、夜間帯に実施される機体全般の整備を担当し、国家資格である一等航空整備士を取得してからは運航整備を主に行いながら経験を積みました。

現在は企画・計画グループに所属しています。具体的には、航空機が安全・快適に飛行する為に、いつどこでどのような整備を行うのか計画を立てる仕事です。

基本的な整備内容と実施時期は、航空機メーカーの指示に沿って行いますが、整備予定だった航空機が天候の影響で戻ってこないなど、外的要因により予定通り整備できないことも多々ある為、そのような状況に対応しつつ、1日数十機もある航空機の整備作業の内容や整備に必要な整備士数のバランスを考えて計画を立てています。

 仕事の魅力、やりがい

機体が検査・整備をされ、お客さまがご搭乗されるターミナルに移動したときは、航空機がいきいきとまぶしく見えます。航空機は運航・客室乗務員は勿論、給油や清掃、機内食、空港ゲートなどを担当する沢山の仲間によって1便が大切に準備されます。多くの人の手を経た機体を最後に見送れる整備士という立場はとても恵まれておりやりがいを感じます。

また、航空機が出発する際にお辞儀して手を振ってお見送りしますが、機内のお客さまが手を振り返してくれるのが見えたときはとてもうれしかったです。

 これまでに苦労したこと

整備作業には力仕事もあります。新人のころ、自分の力だけでは動かせない重い部品を前にして途方に暮れたこともありました。そんなとき先輩から、てこの原理を使えばいいとヒントをもらいました。普段使っている工具を組み合わせることで、重い部品でも自分だけで動かすことができる。そのことを学んでからは、手に負えないから他の人に頼るのではなく、先ずは自分なりに工夫してみようと思えるようになりました。

 力づけられた先輩のアドバイス

整備作業は絶対にミスが許されない仕事です。その重みを考えると緊張で上手く体が動かず作業が進まないこともありました。そんなとき、この整備作業はチームで進めているものなので、ひとりで抱えこまなくてもいいとアドバイスをもらい、気持ちが軽くなったことがあります。勿論、自分が担当する箇所は責任を持って確実に作業を進められるよう日々技術も磨きますが、少しでも機体の感触が違うと感じたら周囲にも確認してもらい、チームワーク良く作業を進めています。

 ライフ・ワーク・バランス(生活と仕事との両立)

私が月曜から金曜までの日勤、夫が夜勤もあるシフト勤務です。夫がいないときの育児と家事は私がしていますが、夫が家にいるときは、保育園のお迎えや子供の宿題の相手をするなど、積極的に育児に関わってくれています。

タイム
スケジュール
夜は家事時間の確保が難しいため、朝早く起きて洗濯や掃除を行っています。

 休日の過ごし方

休日は子供たちと一緒に出掛けることが多いです。小学生2人、保育園児1人、3人ともみんな体を動かしたい盛りなので、自転車で空港が見渡せる公園によく行きます。子供たちも飛行機が大好きなので、お気に入りの飛行機や珍しい飛行機が飛んでくるとすごく興奮して楽しんでいます。

 職場環境の改善に向けた取組、課題等

入社した当初は、控室の一角を仕切って女性用ロッカールームにしていましたが、女性の少ない職場なので仕方ないと思っていました。また、整備作業で使う軍手やつなぎ、長靴も男性用サイズが主流で不便でしたが、切ったり詰め物をしたりと工夫して使用していました。ですが、あるとき先輩から、使いにくいのを自分が我慢していたら、後輩も同じように我慢することになると言われて、確かにそうだと思いました。そこで女性ミーティングを開催してその議事録を会社と共有したことで、徐々に女性サイズの軍手やつなぎも配備されるようになりました。

現在は間接業務(デスクワーク)も含めると約300名の女性社員がいます。女性社員の中には、出産後、子供を預ける場所が見つからないかも、という不安な点もあるかと思います。実際、長男の時は育児休暇を希望通り取得することが出来ましたが、次男と三男のときは保育園の欠員を待つ必要があったため不安な日々を過ごしました。社内に託児施設が欲しいと思った時期もありましたが、最近では近くのホテル内に空港職員が利用できる託児所が開設され、少しずつ環境が改善されています。過去には子供を預ける場所がなく退職された方もいらっしゃいましたが、今では出産しても復職する人がほとんどです。

 今後のキャリア形成や目標について

現在は家庭の事情もありデスクワークに就いていますが、子供の手が離れたら現場に復帰し、後輩のロールモデルになれたらと思います。航空整備士業界では、それぞれの機種によってライセンスがありますので、復帰したらまた新しい機種に合わせて取得する予定です。

メッセージ

整備士の仕事は、オイルまみれの力仕事ばかりではありません。特に私が最初に配属された客室整備等は美観と快適性を重視する、女性の視点が生かされる部署です。また、小さな空間にさまざまな装置が配備されているので、指や腕が細い方が作業しやすく、自分のサイズでよかったと思うことも多々ありました。興味のある方は、是非ホームページをご覧ください。きっと作業の楽しさをわかってもらえるはずです。