運輸業は、人やモノを運ぶことで暮らしや経済活動を支えるだけでなく、災害時にはライフラインとしての役割も担う重要な産業です。力仕事や労働時間が不規則といったイメージから、男性主体の産業となっていましたが、女性の参画が徐々に進み、女性だけでなく男性にとっても働きやすい職場環境に変わりつつあります。今後、女性のさらなる活躍が期待される運輸業界の現状をデータから見ていきます。
東京都における産業別女性比率を見ると、「運輸業・郵便業」は21%と、「建設業」の17.3%に次いで低くなっており、依然として男性比率が高いのが現状です。
しかし、女性の参画が進み、新しい視点が加わることで、さらなるサービスの向上等が期待されるなど、伸びしろが大きい産業であるとも言えます。
運輸業にも様々な業種がありますが、特にバスなどに代表される「道路旅客運送業(8.0%)」や「鉄道業(8.3%)」で女性が少ないことがわかります。
航空運輸業では、客室乗務員等に女性が多いため、高い比率を示していますが、整備士やパイロットでは女性はまだ少数派です。
続いて、「女性が輝くTOKYO懇話会~運輸業編~」の参加者が活躍する「航空運輸業(整備士)」「道路貨物運送業(トラックドライバー)」「道路旅客運送業(バス運転士)」「鉄道」の状況を個別に見ていきます。
リーマンショックや東日本大震災の影響で一時低迷していた航空業界ですが、平成24年のLCC就航開始によって航空機数は年々増加し、それを支えるために不可欠な整備士の増員も求められています。
整備士は力仕事だけでなく、細部の作業や快適性を重視する業務など、性別に関わらず誰もが活躍できる職業であり、女性のさらなる参画が求められています。
道路貨物運送業では、就業者の高齢化や若年労働者不足による労働力の不足が問題となっています。
道路貨物運送業就業者の年齢構成比を見ると、40歳から54歳までの就業者が45.0%を占めており、全産業と比べて約10ポイント程度高いことが分かります。
こうしたことから、トラック業界では、業界全体で女性の活躍推進に取り組んでおり、職場環境の整備等が進められています。
鉄道業界の女性従事者数及び女性鉄道運転従事者数は年々増加傾向にありますが、まだまだ女性の参画が少なく、特に鉄道運転従事者が少ないのが現状です。
鉄道利用者のニーズが多様化する中で、性別に関わらない多様な価値観や発想が求められており、女性のさらなる参画が期待されています。
バスの運転者に占める女性比率は、全産業はもちろん、タクシーやトラック運転手と比較しても非常に低いことが分かります。
バス運転手が不足する中、女性の参画が求められており、女性のライフステージに合わせた勤務シフトの作成や女性バス運転手同士のコミュニティの形成等、女性が活躍できる環境の整備が進んできています。