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令和元年度「女性が輝くTOKYO懇話会」

ガラスの天井を打ち破れ!~女性も男性も輝く未来へ~

ディスカッション

【キャリア形成について】
「企業選びのポイント」
(青山氏)

ディスカッション風景〇私が就職の際に重視したキーポイントは専門である化学を 活かせること、自動車関連産業であること、グローバルな 活躍が望めることの3点。自動車関連産業にこだわりがあったのだが、その中で車と 化学を掛け合わせた時に、自分が一番活躍できそうな場面と考え、自動車会社ではなくブリヂストンを選んだ。

(柴田氏)

〇3歳上の姉や姉の友達から、総合職の女性社員が燃え尽きて辞めていくという話を聞いていていた。そのため、まずは子どもを産んでも仕事が続けられるような、燃え尽きない会社に入りたいと考えた。やや消極的だがまずそこを第一義にして、社会に貢献できる会社、こういう人たちと一緒に仕事がしたいなと思えた会社ということで、JR東海に入社した。

「まずは任された仕事を全力で取り組む」
(柴田氏)

〇2004年に、名古屋セントラル病院の建て替えプロジェクトに携わった。最初聞いた時は正直嫌だなと思った。何故なら、新婚早々で名古屋に単身赴任と言われたことと、鉄道会社に入ったのに何故病院なのか?と思ったためだった。着任する時は嫌だったが、新しいものを創りあげるという点や、医療職の方々と一緒に仕事をする中で、医療職の使命感を知るなど新しい世界を経験でき、非常に楽しかった。

〇また、看護職は昔から女性が支えてきた職場だったため、キャリアを積んだ女性と出逢えたことも非常に大きかった。2人の子供を育てながら自らの能力を発揮して看護部長になられた方と出会った。それまでは、自分が子どもを産んだ後のゴールが見えていなかったため自信がなかったが、育児でキャリアの中断があっても、最終的には能力で評価をされるという実例を見たということが、自分にとっては大事な経験だった。

〇あまり食わず嫌いをせず、任せられた仕事にその時その時で全力で取り組んだということが今につながっている。何の仕事をやるかということも大事だが、その仕事から自分が何を学べるかというところがより大事だと思う。

「女性に向けられる期待が変化している」
(青山氏)

〇私が入社した当時は、女性の活躍とは、結婚、出産後も仕事をして継続していくことだと思っており、経営者になるとかトップマネジメントになるという姿までは描けていなかった。今は、女性が活躍するということは、都知事や室伏先生のように組織を率いることだと考えている。一般的にも、社会や会社が期待する女性像、女性活躍のあり方が大きく変わってきたと感じている。これから社会に出られる皆さんは、40歳、50歳、60歳の時に、自分がどういう人であってどういう立場でどんな人とどんな仕事をしたいのか、社会にどういう価値を生み出す存在でいたいのかという点をよく考えて、キャリアを形成していってほしいと思う。

【管理職として働くことについて】
「管理職として意識していること・感じること」
(青山氏)

〇管理職になって大きく変わるところは5つある。
1つ目はミッションが変わること。自分の業務目標を達成することから、メンバーをよく動かして組織のアウトプットを最大化することへ変わる。
2つ目は人事権。メンバーを育成したり、労務管理をしたり、人事評価をすることが重要な仕事になる。
3つ目は情報。担当者の時には得られなかった情報が多く入ってくるようになり、情報を取捨選択したり優先順位をつけたり、メンバーにどれを任せるかを判断していくことが重要になる。
4つ目は代表者としての地位・存在。個人の意見ではなく会社の見解として社会に受けとめられることを意識し、広い見識を持ち、立場なりのふるまいや適切な対応をすることも重要になる。
5つ目はメンタル。組織を担うため、挑戦したり踏み出したりする勇気があり、「私に任せて」と言える自信、運命を賭けるぐらいの覚悟が大事だと思っている。

(柴田氏)

ディスカッション風景〇私が心がけていることは3つある。1つ目は、常に明る く前向きにチームを率いていくこと。これは、管理職の 雰囲気がチームに影響するため心がけている。
2つ目は、言語化して指示が可能なことは部下にやってもらうようにしている。人は仕事で育つと考えているので、まずは部下に任せ、できない仕事は自分が最終的に引き受ける覚悟でいる。
3つ目は、チームリーダーということで、夢と勇気を持って仕事をするようにしている。夢というのは、チームの目標、ミッションをどこに置くかということで、みんなが共有できるような、やりたいと思うようなミッションをチームで持つというと。それから、勇気を持って外部を説得していく、反対意見があってもそれを説得していくということを心がけている。

〇管理職になってみて、会社というのは管理職の価値観の総合体だなというふうに感じた。自分のチームが何をやるかというのは管理職が決めている。管理職はそういう意味で非常にやりがいがあり、管理職になって、ようやく本当に自分がやりたいと思うことに手をつけられたなという気持ちでいる。

(小池知事)

ディスカッション風景〇お二人とも主体性があり、明確な目標を持っている。 その上で、客観的にご自分の立ち位置や組織全体の両方 見ているという点で素晴らしいと思った。まさにキャリアデザインを描き、自らそれを決断して積み重ねてこられた素晴らしい例だと思う。このように、管理職として 実績を積み重ねている皆さんが、まさしくロールモデルとして居るということは、次の世代の皆さんにも良い影響を与えるため、大変頼もしく、また嬉しく思う。

(室伏学長)

〇お二人とも、家庭を持ち、子どもたちを育てて、社会人として様々な経験を積み重ねている。ご自身の将来を見据えていて足元がぶれていないことは素晴らしいことだと思うし、そうしたお2人の姿勢を、ぜひ若い方たちに伝えていただき、未来を担う人材を育てていただきたい。

〇どちらの会社も、出産で仕事を離れた後に元の職場に戻って、そこでやる気を引き出すというような制度を持っている。そういう企業のあり方自体を日本中にもっと広めたら良いのではないかと感じた。

「上層部の意識を変える」
(青山氏)

〇自分の困りごとを苦言として発しても受け入れられ難いため、提案として上に上げることや、周りの人に発信していくということが大事だと思っている。「前例がないからやらない」と言っていたら会社は何も変われないため、「前例がなくても変えてくださいなぜなら・・・」「こうしたらもっとうまく働けます」という提案をしてきた。

(柴田氏)

〇男性の管理職の方々は、私たちの悩みにすら気付いていないことが多いということが最初の学びだった。2015年に“小1の壁”対策として小学校の育児休職制度を導入した際、会社の上層部は“小1の壁”という単語すら知らなかった。そういうことをまずは共有していくということが非常に大事だなと感じていた。

(室伏学長)

ディスカッション風景〇お互いの信頼関係の上でコミュニケーションを取ることができれば、皆が真剣にいろいろな課題について考えてくれる。信頼関係とコミュニケーションが大事なのだろうなと感じる。

(小池知事)

〇働きやすい職場環境を整備する際に、女性のライフステージを考えた人事制度にしていかなければ会社の発展も個人の発展にもつながらない。柴田さんが人事の仕事をしているように、意思決定の場に女性がもっといるべきだということに尽きるのではないか。

【家庭と仕事の両立について】
「夫と妻は子どもに対する責任は平等であるべき」
(青山氏)

〇結婚、出産、育児とステージが進むと、時間的な制約が出てくる。そこをいかに上手くやり繰りするかが一番難しかった。どうやって生産性を上げるかというところが1つのキーだと思う。それには自分を高めることが非常に大事。自分が1時間あたりどれだけ仕事できるのか、30分あたりどれだけアウトプットを出せるかなどを常に考えると良いと思う。優先順位を明確にして、諦めるものは諦める、世間のあるべき論にとらわれずレトルトの離乳食やサポートシステムなどのサービスなども活用し、時間をうまく捻出することをお勧めしたい。

〇夫と妻は子どもに対する責任は対等で平等である、夫は協力者ではなく分担するパートナーであると思っている。「言ってくれればやるよ」とか「何でも協力するから」という協力の姿勢ではなく、2人で納得できる育児家事の分担が、2人で働く家庭では重要だと思う。

「優先順位を考える」
(柴田氏)

〇育児休職から復職した時、仕事を自分の理想の形まで仕上げつつ、子どもにもしっかり向き合いたいと思っていたが、すぐに壁にぶち当たり、優先順位をきちんと考えようと思った。まず、子どもを育てつつ仕事を辞めないということが一番大事で、その方が会社にとっても良いはずだと自分を納得させて、仕事はここまでと自分で決めた。例えば、何時までということを決めて、それでできない分は人に任せる、やらない、出来が悪くても提出すると考えを変えた。

〇家の中も、散らかっていてもお母さんの機嫌が良い方が絶対子どもに良いはずと考えた。息子は、今や家が片付いていると気持ちが悪いと言うようになってしまったが、それでも自分としては心の平穏が保てている。子育てと仕事を両立してみて、本当に子育てが自分の人生にプラスになっていると正直に思える。例えば、子育ての中で、子どもは叱ってもやらないが褒めるとやるというところから、人間は本質的に褒めた方がよくやるんだなという学びにつながり、仕事に活かしている。

【ガラスの天井について】
「配慮と差別は紙一重」
(青山氏)

ディスカッション風景〇女性だから飲み会に誘われない、ゴルフに誘われない、 先回りして配慮されるということが一番辛かった。 「青山さん、お子さん小さいから出張は無理だよね」 「青山さん、無理そうだから飲み会に誘わなかったけど、 あの案件は飲み会の場で合意したから」といった配慮はとても辛い経験。 配慮と差別は紙一重だと思っている。制約ある働き方をしているメンバーについては、予め配慮してしまうのではなく、ご本人の意向を聞いて、どう扱ってほしいのかを理解していただくと良いと思う。

〇私が若い頃は、女性は総合職で入社しても配属先は本社か研究所で転勤や工場勤務がほとんどなく、仕事の幅を広げることがしづらい時代だった。例えば、女性は男性より、本社の課長が出向先の子会社で部長の立場に就くといった、小さい組織を上の立場でマネジメントする経験を若いうちに積むチャンスが少なかった。私自身も、経験不十分なまま組織のマネジメントを任されることになり戸惑った。

「社会のシステムは男性目線で作られている」
(柴田氏)

〇社会のシステムや会社のシステムは男性目線で作られているため、女性にとっては非常に働きにくいなと思うことがあり、若いころはかなり憤慨をしていた。

〇例えば、昨年、結婚前の姓を社内で使用できる制度を導入したが、それまで導入できなかった理由が、システムを改修するためにお金がかかる一方でその効果がよく分からないということだった。日本では96%の夫婦が男性の姓を選ぶため、姓が変わることに対する不満、不便さが男性にはなかなか理解されなかった。「誇りを持って働いている女性ほど自分の姓が変わることに抵抗がある」「良い仕事をする女性に来てほしなら制度を変えないと会社のためにならない」といったことを、管理職になることで直接経営陣に訴えることができ、制度を変えることができた。

(小池知事)

〇会社のルールなどが男性によって作られていることについて、これを変えていくためにも意思決定の場に女性がいることが必要である。知識、経験を積み重ねることで、女性の管理職の方々に大きな役割を担ってもらえると思う。

〇まずはチャレンジして。ぶつかったらいかにして改善するかを考えることが良いのではないか。まずはやってみる、「ここで私がやらなくて誰がやる」くらいの気概が必要。

(室伏学長)

〇個人だけではどうしようもないことは多々ある。女性たちが本当に活躍でき、持っている能力を死蔵させないためには、周囲が環境を作っていくことが非常に大事だと思っている。お茶の水女子大学でも2002年に病院を持たない国立大学で初めての保育施設を創設した。今では、学生や教職員が6ヶ月から3歳までの子どもたちを預けて、安心して研究教育に専念できるような環境ができている。

〇女性たちにとって、アンコンシャスバイアス 無意識の偏見が非常に大きな足かせになっていることは確かだが、男性女性の役割分担というものに縛られて、男性たちも大変だろうなとも思う。男たるもの強くなければいけないとか、家族を養わなければいけないとか、長時間労働に陥って健康を損ねたりと、自殺する人たちも男性の方がはるかに多い。男性も女性も両方が、お互いを信用し、信頼し合って、尊重し合って、幸せな世の中を作るために努力することが一番だと思う。

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