ワーク・ライフ・バランス実践研究会 第1回
第1回は、東京中小企業家同友会会員企業の経営者層の方々にお集まりいただき 開催しました。
【日時】平成25年8月19日(月)15:00~17:00
【講師・コーディネーター】矢島洋子氏:
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
女性活躍推進・ダイバーシティマネジメント戦略室長)
【参加企業】
(株)赤ちゃんとママ社、(株)エアコンサービス、(株)キャリア・マム、
(株)クリタエイムデリカ、(株)ソリットナカノ、(株)ヒューマンシステム、
(株)ヘキサード、(株)吉村 (50音順)
1.講義
意見交換に先立ち、「ワーク・ライフ・バランス推進で会社は、職場は、どう変わったか?」と題し、ワーク・ライフ・バランスの推進に伴なう、会社、職場の最近の変化について、企業アンケート調査結果(「平成23年度育児休業制度等に関する実態把握のための調査」厚生労働省委託 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)等の分析を通して矢島洋子氏よりご講義いただきました。
2.意見交換
ワーク・ライフ・バランスの取組がどのように始まり、会社、職場でどのような変化があったか、そして最新の課題等について意見交換を行いました。
以下は概要版です。
会社・職場におけるプラスの変化
ワーク・ライフ・バランスに取り組むなかで、会社や職場でどのような変化が見られたかについて、以下のような話をきくことができました。
○短時間正社員制度の導入により、結婚・出産・介護を理由とした離職に歯止めをかけることができ、せっかく育てた社員が辞めなくて済むようになった。
○育児休業利用者が、産まれて来た子供のためにと奮起し昇任試験を受けてくれた。
○どうしたら働きやすくなるか社員自らが考え、話し合う会議を立ち上げたことで、会社が社員の声を拾えるようになった。
○社員の自主的なプロジェクトのなかから、つわり休暇や復職支援制度等、独自の制度が誕生した。
○品質と効率の向上を目指し、情報連絡・共有を徹底するなかで、お客様からのクレームの減少、結果として残業の削減を実現できた。
○東京都「東京ワークライフバランス認定企業」の受賞がきっかけで、よい人材を獲得することができた。
両立支援等の制度利用者とそうでない人とのマネジメント
経営者として、子育てや介護等の両立支援制度を整えていく一方で、制度を利用されている人と、直接制度の対象となっていない人との間の不公平感を課題と感じ、制度利用者だけではなく、制度を支える人たちにとってもより働きやすい会社にすることを考えているといった声があがりました。
またこうした課題に対して、以下のような考え方や取組事例が紹介されました。
○会社は、ノンワーク・ノンペイを掲げ、休みに関して柔軟に対応する一方、働いていないところに関しては、報酬を支払わないことで、メリハリをつけている。
○人事評価制度の明確化と評価制度自体の評価に取り組むことで、公平性を目指している。
○有給休暇の取得促進や残業縮減を社内でPRし、不公平感の緩和に努めている。
○マニュアルを整え、仕事の共有化を図ることで、人員が欠けたときの対応を整えている。
そのほか、育児だけではなく、介護休業の例が出てきたことで不公平感が緩和されたという意見もありました。
介護との両立
介護については、まだ事例がないという企業もいらっしゃる一方で、現在感じていることとして、以下のような課題があがりました。
○介護サービスの内容が地域によって異なり、会社がその情報を把握できずにいる。
○会社が様々な制度を提示したが、父親の反対によって辞めざるを得なかった例があり、家族の理解も今後のテーマであると感じている。
○在宅勤務制度は子育てには向いているが、介護の場合、自宅が働く場になっていると両立が難しいという社員の声があった。
○育児に関しては様々なところでセミナー等があるが、介護ではまだ十分にない。
また、介護との両立に向けての取組として、「介護のアウトソーシングサービスの利用に罪悪感を感じることはないと社員に伝えている。」、「介護が問題になるときは、キャリアアップの時期と重なり、休むことに抵抗を感じる人もいる。いざというときに先輩後輩で助け合える密な人間関係の構築に取り組んでいる。」といった例が紹介されました。