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ワーク・ライフ・バランスに関する「意見交換会」第5回

意見交換会第5回は、東京都男女平等参画を進める会の委員の皆様とともに開催しました。

 

【日時】平成23年3月7日(月)13:30~15:30

【場所】東京都庁会議室

【講義】

『男性の育児参画の必要性~育休取得パパの体験談と企業における取組について~』

講師:堀川 佐渡 氏(株式会社NTTデータ人事部ダイバーシティ推進室)

【参加者】東京都男女平等参画を進める会委員 13名

 

まず、株式会社NTTデータ人事部ダイバーシティ推進室の堀川佐渡氏より、『男性の育児参画の必要性~育休取得パパの体験談と企業における取組について~』と題して、育児休業を取得した男性として、また企業の人事担当者として、個人・企業の両観点からご講義いただきました。

 

講義の主な内容

堀川氏は第二子誕生後、2008年1月~4月半ばまでの3ヶ月半、育児休業を取得。その際のご経験や男性が育児に参画することのメリット等をお話いただきました。

 

・共働きの妻とは「できるだけ家事育児を分担しよう」と言っていたため、第一子の時は毎朝保育園に送って週1日はお迎えにも行き「自分は他に比べると協力的なパパだ」と思っていた。しかし「育児の副担当」意識が抜けず、育児の大変なところは妻にまかせっきりの「良いところ取りの育児」となってしまっていたが、それを意識できていなかった。

・意識を変えるべく、第二子の出産を機に3ヵ月半育休を取得して育児の主担当を経験。育休中は仕事よりも忙しい毎日だったが、人生の優先順位を考えることのできる「宝物のような時間」だった。

・育休は自分のキャリアにマイナスになるのではという不安も無くはなかったが、考え方次第ではキャリアアップの武器になると思い、復職時に営業から現在の部署に異動した。

育休によって得た効果・メリット

・会社勤めをしていると、目の前の仕事で手いっぱいでなかなか3年後、5年後のことを考える時間が取れないが、定年後を含めて自分の人生における優先順位についてゆっくり考える時間が持てた。

・家族との絆を深めることができ、やはり日々のコミュニケーションが大切だということに気づくことができた。そして復職後も働き方を工夫して育児と両立する決意ができた。

・仕事で役立つスキル(表現力、ダンドリ力、トラブル予測力、リカバリ力、楽天家力)が身に付いた。

男性の育児参画がもたらすメリット

・仕事にメンバーの代わりはいても、家族にとって父親の代わりはいない。

・地域にとって、父親が地域に関わることで安心・安全につながり、父親にとっても定年後の居場所づくりにつながる。

・企業にとって、育児に積極的に関わりたいと考える若い男性が増えている今、社員の色々なニーズに応えていける働き方の多様性を整えることは、社員のモチベーション向上と優秀な人材の確保につながる。

・社会にとって、男女平等参画、少子化対策に寄与する。

・各個人にとって、会社に寄りかからない自立した人生を送ることができるようになる。

男性の育休取得を阻む5つのカベ

 1.認知のカベ・・・そもそも男性が育休を取得できることがまだ知られていない。  

 2.コストのカベ・・・給料半額(※)では生活できない。特に専業主婦家庭の場合、夫の給料が半額になるのは非常に大きなカベである。

 ※雇用保険の一般被保険者には、育児休業期間中の経済援助として、休業開始時賃金月額の50%の育児休業給付金が支給される。ただし、受給するためには、雇用保険一般被保険者で休業開始日前2年間に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上ある必要がある。  

 3.家族のカベ・・・男性の育休なんてみっともない、世間体が悪いなど、特に実家の両親から言われる。

 4.企業のカベ・・・職場に迷惑がかかる、出世をあきらめたと言われる。

 5.意欲のカベ・・・上記のようなことがあり、取得できる環境にあるにもかかわらず男性自身が取りたくないと思ってしまう。

 

また、堀川氏の勤務する株式会社NTTデータは、「第2回ベストマザー賞2009(主催:NPO法人日本マザーズ協会)」、「父親が子育てしやすい会社調査(NPO法人ファザーリング・ジャパン、第一生命経済研究所)」2008年第3位、2009年三ツ星(最高位)を受賞するなど、ダイバーシティ・マネジメントの実現に向けて、両立支援やワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組んでいます。実際にダイバーシティを推進する部門に勤務されている堀川氏から、NTTデータにおける代表的な取組等についてご紹介いただきました。

・社員個人のためだけでなく、多様な属性や価値観・発想を経営に取り入れることによって企業の競争力向上につなげていくために、経営課題としてダイバーシティに取り組んでいる。 働き方の多様性を認めることで、社員の働くモチベーションが上がり会社の業績も良くなり、それがお客様の満足にもつながっていくと考えている。

・<パパセミナー>  毎年1回人事部主催で平日の日中の時間帯に開催。参加者の満足度は非常に高い。

・<全部長向け意識変革研修>  全部長向けに働き方の変革研修を行い、研修後、どのように働き方を変革するか、宣言文を色紙に書いてもらい社内イントラネットに掲載。また、そこで終わらせず、宣言を実現するためにはどうしたらいいかについて、毎年1回は各職場でセッションをしてもらっている。更に、職場セッションの実施率を役員会で報告することで実施を促進している。

・<PCログ自動取得ソフト>  パソコンの電源を入れて電源を切るまでの時間を自動的に記録。また、始・終業時刻を通知する画面が自動的に出てくることで労働時間への意識向上を図っている。

・<2週間連続休暇の推進>  社員全員に取得を促進するとともに、管理職は5年に1度は必ず取得しなければならない。年度当初に計画書を提出させたり、プロジェクト後の取得を促したりすることで、取得しやすい環境を作っている。

・<テレワーク(在宅勤務)>  社内有志社員の自発的・ボランティアな提案よりスタート。取得理由は育児・介護に限らず誰でも取得できる。  導入にあたりきちんと管理できるか不安視する声もあったが、一年半のトライアル試行を経て、テレワークの場合は普段より定期的に報告がくるので、部下の仕事の見える化につながり管理しやすくなったという意見もあり、現在は月8日まで利用可能。

・<すごい職場紹介>  

 成功職場事例を記事にして社内イントラネットに掲載。

 (例)「会議費用算出タイマで会議時間の短縮に成功!」「『ペーパーレス会議』で労働時間も大幅削減」等

・<仕事と介護の両立支援セミナ>  介護保険制度や介護サービスなど、いざ介護が必要になったときに必要な基本的な情報を提供。実施後アンケートの満足度も高く、社員のニーズもかなりある。

 介護セミナで社員に一番伝えたいことは「絶対に仕事を辞めないでほしい」ということ。

・ダイバーシティ推進の取組との明確な因果関係を言えるところまでは行っていないが、目的としていた社員満足度とお客様満足度も、毎年向上しており一定の効果は得られていると感じている。

 

最後に堀川氏から

「ワーク・ライフ・バランスは天秤で考えるのではなく、相乗効果で考えると良いと思う。育児や自己啓発など人によって重要視したいものは色々あるが、重なる部分はより強くできる上、全体の面積も大きくしていくことができ人生の幅が広がる。そしてそのような取組を継続していくためにも、『楽しく』をキーワードにしていただきたい。」 「(堀川氏が会員になっているNPO法人ファザーリング・ジャパンでは)『父親であることを楽しもう。』『どんなに忙しくても、奥様を支えることも立派な間接的な育児。奥様を支えよう。』『どんどん地域に出よう。』『ママの皆さんもパパを褒めて育てよう。』と伝えている。一つでも良いので、できることから取り組んでいただけると嬉しい。」 という言葉をいただきました。

 

その後、講義を踏まえて参加者から多くのご意見をいただきました。

主な意見

・そう簡単に人間の意識は変わらないものだが、確実に一歩一歩進んでいると思う。

・こういった取組を行うことで、企業にとっても従業員にとっても好影響があるということをどんどんPRしていくべき。

・管理職の納得を得るためには、いかにプラスの成果を見せていくかが大事だと思う。

・管理職登用への条件のひとつとして、「女性部下の育成」を項目に含めている企業もある。

・男性の育休取得促進は、女性が働き続けられる環境の整備とセットで推進しなければいけない。

・人間らしさを持って生きていく上で、ワーク・ライフ・バランスは非常に大事な条件。

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