平成25年11月8日(金)、東京ウィメンズプラザでシンポジウム「女性が活躍できる社会へ -見直そう!あなたの意識、進めよう!働きやすい職場づくり-」を開催しました。
基調講演「女性が活躍すれば、企業も社会も変わる~結果を出す女性活躍促進に向けた課題と改革のあり方~」
山極 清子 氏(株式会社wiwiw 社長執行役員、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授)
・日本企業における管理職に占める女性の割合は1割程度で、先進国の中で最低水準。ジェンダー・ギャップ指数ランキング(2013年)は世界第105位。各国の女性活躍推進の取組が進む中、日本は遅れているのが現状。
・女性の活躍が進んでいない要因として、1.根強く残る「夫が外で働いて妻は家を守るべきだ」という観念、2.他国と比べて夫の育児・家事参画が進まず女性だけが担う家事・育児、3.日本的雇用慣行としての長時間労働・拘束的な働き方、4.女性を戦力外とみて能力を評価しないなどがあげられる。その結果、女性自身もキャリア形成を諦めてしまう。
・女性が活躍できない理由の多くは企業側にあるという研究結果もある。逆に言えば、企業のやり方ひとつで女性の能力を引き出して経営パフォーマンスをあげることが可能。
・現在働いていないが、就業を希望する女性が約340万人いる。これらの人々が働くことができれば、GDPが上昇するという試算がある。また、グローバル化による市場の変化に対応するには生活経験も豊かで多様な人材(ダイバーシティ)が活躍できれば企業の競争力が高まるだろう。
・企業規模に係らず、女性の活躍を推進したことで、業績が向上した例はたくさんある。
・企業において取組を進めるには、女性の人材育成を経営計画に取り入れる等、経営トップのコミットメントや本気さが重要。女性のキャリア形成を後押しする制度と仕組みをつくるという意味で、ポジティブアクションと、ワーク・ライフ・バランスともに展開していく必要がある。女性も男性もキャリアと育児・家事の両立しやすい職場環境づくりや労働時間の長さではなく、成果で評価する仕組みへと変えて行く必要がある。
・女性も、自分自身でまずキャリアを描いて行動し、実績で示すことで、会社に残ってもらいたい人材となる必要がある。 国や自治体は、安倍首相の成長戦略が「絵に描いたもち」にならないよう、積極的に推進していくべきである。
パネルディスカッション「企業事例から見る女性の活躍推進」
コーディネーター 山極 清子 氏
パネリスト
・和田 健吾 氏(東宝株式会社 人事部人事課長)
・石山 千景 氏(ブリヂストンスポーツ株式会社 CSR・品質経営本部 CSR・安全環境推進部CSR推進ユニット)
<会社概要・取組事例>
○東宝株式会社
事業内容:映画事業、演劇事業、不動産経営
従業員数:378名(出向者除く)
両立支援制度:育児休職、育児時短勤務、積立休暇の育児目的利用 など
・能力に応じた登用を行うために、評価要素を明確化する等、人事管理制度を整備。評価を行う側への研修も行う。結果として、女性の登用が自然と進む。(20代女性の部長級登用事例もあり)
・育児休職者に対し、休職前と産後、復職前の3つのフェーズに分けて定期的に個別面談を実施。個人の事情を把握し、できるだけニーズに対応。復職前には、人事から職場の上司にも説明を行い、スムーズな復職を実現
・ワーク・ライフ・バランス推進のため、チャージアップ・プロジェクトと題し、ノー残業デーの実施や休暇取得推進等、全社的に取り組む。
○ブリヂストンスポーツ株式会社
事業内容:スポーツ用品の製造・仕入れ・販売
従業員数:585名
石山氏体験談、取組事例
・石山氏、2度の育休・復職を経験。女性がモチベーションを保ちつつ働き続けるためには、ロールモデルの存在が重要だと実感
・自身の経験から、働き方の見直しや女性の活躍推進を目的とした、ワーク・ライフ・バランスプロジェクトを企画・実施
・上記プロジェクトの中で、女性のためのキャリアデザイン研修等、自己の将来と向き合う場を設定。仕事と家庭を両立する自信がついた等、社員からも好評。また、女性社員のコミュニティ作りにも発展
・育児休職から復帰した女性社員は、人生の岐路で仕事を続けることを選び職場に戻ってきた、やる気に満ち溢れた女性たち。会社には、そんな女性社員にキャリアを考える場を提供すると同時に、仕事を任せていただき、今後の若手社員のためにロールモデルを増やしていってほしい。
など
参加者からの質問
Q いわゆる昔ながらの企業体質の職場だが、育児をしながらも働きやすい職場にするために、一人の従業員として始められることとしては、どのようなことがあるか。
○ 石山氏(ブリヂストンスポーツ株式会社)
女性であれば、これから妊娠や出産をむかえる後輩社員は不安でいっぱいなので、先輩社員の方から声をかけるといいと思う。自分自身も後輩社員からいろいろ相談された。「大丈夫だよ」と一声かけるだけで安心する。男性であれば、例えば家庭で家事や育児に参加し、実際にやってみるとこうだと発信していくことが大事だと思う。
Q 社員が1年以上の育休を取得する場合、会社側はどのようなことに留意すべきか。
○和田氏(東宝株式会社)
きめ細かい面談を実施して、その社員のその時々の状況を継続的に把握しておくことが、会社側の留意点のひとつとしてあげられると思う。また、突発的に何かあった際にすぐ相談できるように、面談に限らず電話やメールでも相談できる体制をつくっておくことも重要だと思う。
その他、会場から多数質問があり、コーディネーターとパネリストから様々な事例紹介やアドバイスがされるなど、「女性の活躍推進」について活発な議論が行われました。