ページの先頭

ページ内移動用のリンク
ヘッダーメニューへ移動
グローバルナビゲーションへ移動
本文へ移動
フッターメニューへ移動
ここから本文です

日本初!家庭内のインターンシップで、両立しやすい社会の実現へ

2014年5月9日

スリール株式会社 代表取締役社長 堀江 敦子 氏

自らが就業スタイルを決定できる起業は、女性の活力や柔軟な発想を生かせる働き方の1つです。今回はスリール株式会社代表取締役社長の堀江敦子さんに、ご自身の起業の経験等について執筆していただきました。

その1 起業に至るまで

私は25歳の時に、スリール株式会社を立ち上げました。
実施している内容は、「日本初の、家庭内のインターンシップ」です。

「家庭内のインターンシップ?企業ではなく?」
そう不思議に思われる方は多いと思います。

スリール株式会社が行っているワーク&ライフ・インターンは、
4ヶ月間週1~2回、大学生が2人ペアで共働きの家庭に入り、
仕事と子育ての両立のリアルを学ぶインターンシップです。
(子どもの対象年齢は、2歳〜小学校3年生まで)

家庭には子育てサポートを、大学生にはキャリア教育を。
設立から3年間で240名以上の大学生(1割が男性)がインターンを行ってきました。

将来に漠然とした不安を抱えている大学生たちが、
実際のリアルな現場を見ることで、仕事と子育ての両立をポジティブに感じ、
子供たちは多くの大人に見守られて育ち、家庭は子育てを楽しくシェアできる。

「『誰もが、自分がどのように生きていきたいかを考える機会があり、
自分らしい生き方が実現できる。』
そんなコミュニティを日本に創りたい。」
そういった想いで、この事業を人生をかけて実施しています。

未婚で子供もいない私が、なぜこのような事業を25歳で起業したのか。

それは子育てに対する理解がない環境と、仕事と子育ての両立について先が見えず、
不安でキャリアを諦めてしまう人々を見たからでした。

このままでは、私が子供を育てる時に間に合わない。
そんな衝動に駆られて、起業を決意しました。

自分自身がモヤモヤ女子。子育ての大変さと楽しさを知る

昔から子供が大好きだった私は、小学校6年の頃から同じマンションの赤ちゃんと遊んだり、中学では保育園でボランティアをしたりしていました。
また大学生になると、ベビーシッターのアルバイトを始め、今では約200名の子供をみるまでになっています。

大学4年の時、知り合いの女性起業家のお子さんを週3回4時間、無償でお預かりをしました。
会社は起業して1年目。お子さんも生後1か月半という、いずれも大事な時期でした。
打ち合わせやミーティングに同行して、赤ちゃんをあやしながら仕事のお手伝いもするという経験をして、2つの大きなことを学びました。

1つ目は「子育ての大変さと楽しさ」。
この体験は正直、壮絶な母親体験でした。
泣き続ける赤ちゃんを片手で抱っこしながら、ミルクを作ったり、
自分がご飯を食べるための苦肉の策として、ベビーバウンサーを足でゆらしながらご飯を食べたり…。
週3回4時間だから、この子のことを愛せるし、可愛いと思えるけど、
正直24時間365日見るのは難しい…。
昔から子供が大好きな私が、子育ての大変さを痛感した瞬間でした。

しかし子供目線で考えれば、お母さんが24時間1人で育児を抱え込むよりも、育児の時間をシェアリングすることで、子供は多くの大人から愛され、多様な価値観に触れることができる良い機会になるのではとも感じたのです。

また時を経るごとに、どんどん私に対して心を開いてくれる子供たちは、お世話は大変だけど、不思議と「やっぱり子供が欲しい!」と思わせてくれるのです。この体験は、私にとってかけがえの無いものでした。

2つ目は「生き方・働き方の選択肢」。
起業家のママの鞄持ちならぬ「ベビーカー持ち」として、ベビーカーを持ちながらミーティングに同席したり、ラジオの収録に同行したりする中で感じた事は、
「独立という新しい生き方の選択肢」と
「仕事を頑張りながら、子育ても愛情深くする方法がある」ということでした。

それまでの私は、母親が専業主婦だったこともあり、
高校生から抱いていた「誰もが自立できる社会をつくる」という夢を仕事で実現したいと思いながらも、
仕事と子育ての両立がイメージできず、「実際にどうしたら良いの?」と不安を抱える「モヤモヤ女子」でした。

その女性起業家の方に出会う前は、ベビーシッターを行いながらも、お客さまとはビジネスの関係。
「ぶっちゃけ、仕事と子育てって両立できるんですか?」なんて聴くことができなかったので、「仕事をしたら子供が可哀想。仕事を頑張りたいけど、どうしたらいいんだろう?」と私自身が思っていたのです。

しかしながら、女性起業家の方はビジネスとしてではなく、一人の人として関ってくださり、そんな人生の先輩から
仕事と子育てのリアルな現状と、一人の女性としての仕事の向き合い方、
子育てへの想いや悩みを等身大に聴くことによって、
「なんだ、悩みながら、人の手を借りながら、子供にも仕事にも向き合っていけば良いんだ。」と感じるようになりました。

「仕事と子育てを両立したい。」
そう自然と考えられるようになりました。

しかし、まず自分が一人の社会人として認められる存在にならないと、自らが希望する「仕事と子育ての両立」ができる働き方は実現できないと考え、某IT企業で社会人としての第一歩を踏み出しました。

若い人が当事者意識を持てれば、職場や社会を変えられる

新卒入社で入った会社は、会社自体も仕事も大好きだったのですが、
周囲をみると長時間労働で深夜まで働く人がたくさんいました。

そんな中で、あるワーキングマザーの先輩は、以前は営業成績トップだったのですが、出産・育児を経て復帰後、営業アシスタントとして時間短縮勤務で17時に退社するようになってから、評価が下がってしまったという現状がありました。
彼女が自分の評価について上司に聴いてみたところ、「17時に帰っているから仕方が無い」と言われたとのこと。

それを聞いた時、今の会社では、「17時に帰って子育てする」という形での「両立」はできるが、「自分らしく働きながら子育てする」と言う意味での「両立」は難しいのではないかということを痛感しました。

そこで、働き盛りの若手社員が「私たちが働き続けていくために、働きやすい会社にしていこう」と声をあげ活動をしていったら、会社の環境や働き手の意識も変わっていくのではないかと考え、社会人2年目の同期を中心に50人に呼びかけました。

しかしながら「いまは自分のことで頭がいっぱい」だと、誰一人一緒に行動してくれる人はいませんでした。
ワーク・ライフ・バランスや両立支援は、若手には「他人事」だったのです。
私は、この若手の当事者意識の無さに愕然としてしまいました。

いま子育て中の人は、声をあげても聞いてもらえない。
これから子育てに直面するかもしれない人は当事者意識がなくて、何年かして当事者になったときにはまた声を聞いてもらえない。
この悪循環が、日本の職場や社会が変わらない原因ではないかと思うようになりました。

いま、未就学児がいる世帯の数は全世帯の内わずか9%。企業の中では更にマイノリティです。
「これからの人」を巻き込んで、当事者意識をもつ人を2割、3割と増やしていけば、社会を変えていけるはず。
では、「これからの人」つまり若い人に当事者意識を持ってもらうには、どうしたら良いのか…。

その時に浮かんだのが、以前私が経験した「両立体験」だったのです。

時間がある、まだ将来の選択肢が多い大学生のうちに「仕事と子育ての両立」をリアルに体験し、「大変だけど両立したい!」と本気で思う人が増えることで、自分がそうなった時の環境を創ることができる。

「『これからの人』の意識改革をしながら、環境を整備する仕組みを創る。」
私の壮大なミッションが決まっていきました。

イメージ

(その2へつづく)

<プロフィール>
堀江 敦子(スリール株式会社 代表取締役)
日本女子大学社会福祉学科卒業  
大手IT企業勤務を経て25歳で起業。
最年少でワークライフ・バランス コンサルタントを取得。
「若者のキャリア意識の変革」を得意とし、多数の講演実績を持ち、新宿区の男女共同参画推進委員も務める。

ご質問・ご意見
ここからフッターメニューです